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「大腿骨頸部骨折」について
アクティブデイできじま(デイサービス)
[掲載日]2016.01.06
今回のテーマは、大腿骨頸部骨折です。[掲載日]2016.01.06
皆さんはこの骨折をご存じですか?テレビなどで、聞いた事のある方も多いのではないでしょうか?
「大腿骨頸部骨折」とは、読んで字のごとく、「大腿骨の頸部の骨折」です。
足の付け根の辺りで起こる骨折です。(右図)
今回は、この骨折について、原因や予防方法などの情報をお伝えいたします。
大腿骨頸部骨折の原因のほとんどは、転倒です。
骨粗鬆症、すなわち骨が脆い状態は、転倒時に特に骨折しやすいです。ですので、
Ⅰ)転倒を予防すること、
Ⅱ)丈夫な骨を作ること
が、大腿骨頸部骨折を予防することとなります。
Ⅰ、転倒予防について
転倒予防の戦略は大きく分けると、
① 身体機能の向上
② 住環境整備 の2点に大別できます。
自分自身をより転びにくいカラダに作り変えると同時に、身の回りの環境を転びにくいものにしましょう。
以下では、①身体機能の向上について詳しく解説します。
① 身体機能の向上をより詳しく見ていくと、
A)下肢筋力の向上、B)バランス能力の向上、C)注意機能の向上、などが挙げられます。
A) 下肢筋力向上練習
▼ 椅子からの立ち座り | ▼ 横に足上げ | ▼ つま先立ち | ▼ ヒップアップ | |
※ 膝に痛みのある場合は やめましょう。 |
||||
B) バランス練習
▼ 片足立ち |
C) 注意機能向上練習
上記A・Bの練習を、下に書いた課題と同時に行うことによって、注意機能の向上が期待できます。
ちなみに、同時進行で2つの課題を行うことは、認知症の予防としても期待されています。
■ 課題の例
・野菜の名前を出来るだけ列挙する
・国の名前を出来るだけ列挙する
・100から7ずつ引いていく(100-7は?それから7を引くと?)
いずれも、自宅で簡単にできる練習ですので、是非やってみて頂きたいです。
② 住環境整備も実は、とてもとても重要です。
運動する事と同じくらい重要ですので、少し述べさせていただきます。
例えば、階段などの大きな段差よりも、ちょっとした段差でつまずくケースが多いです(例えば部屋の敷居や布団など)。
床は滑りやすくないですか?自分の歩行能力にあった杖やシルバーカーをご使用ですか?
高さも合っていますか?椅子から立ち上った後は、安全に歩き出せていますか?
他にも転びそうになってヒヤッとした経験はありませんか?それはいつ、どんな場所でしたか?
一般に、一つの事故が起こる背景には、多くの「ヒヤリ」・「ハット」が隠れていると言われています。
そんな、ヒヤリ・ハットの経験に丁寧に向き合い、何らかの対策をとりましょう。
ケアマネージャーさんや、地域包括支援センターなどの社会資源も、有効に活用しましょう。
すでにデイサービスや訪問リハビリを受けている方は、担当の理学療法士等にも相談してみてください。
Ⅱ、丈夫な骨を作る戦略も、簡単に説明します。
【1】 カルシウムやビタミンDなどを摂取しましょう。
【2】 外出して日光にも当たりましょう。紫外線が骨の形成を促進します。
【3】 立って足に体重をかけましょう。具体的には、散歩をしたり、小まめに立って足踏みなどをしましょう。
骨へのストレスもまた、骨の形成を促進します。
以上、大腿骨頸部骨折の予防について、述べさせていただきました。
高齢者が転倒すると、5~10%が骨折するといわれ、中でも1~2%が大腿骨頸部骨折を発症しているそうです。
発症すると、痛みで歩行不能となり、ほとんどの例で治療には手術を必要とします。
骨折の細かい部分や仕方によって、手術の方法も様々です。
では、骨折した人は、どんな経過を辿っているのでしょうか?
約半数の人は骨折前と同程度かそれ以上の日常生活機能を獲得していますが、
もう半分はそこまでは機能回復できていないようです。
受傷した年齢が高齢になるにつれ、あるいは、受傷前の歩行能力が低かったり、
認知症や脳神経疾患、貧血などに罹っていると、回復しづらいケースも多いようです。
大腿骨頸部骨折の発生率は40歳から年齢とともに増加し、70歳を過ぎると急激に増加します。
男性よりも女性に多いとも言われています。
2007年時点での推計では、2010年には約18万人、2042年の老年人口ピーク時には約32万人が罹患するだろうとされています。
これは、高齢者100~200人中1人の割合です。同じ町内を探せば見つけれるくらい、珍しくない病気です。
また、一度骨折した人は、もう片方も骨折する人が多いというデータもあります。
転倒予防の難しさを物語っているデータだと思います。
転倒は、身体機能の維持向上のみならず、環境の整備を含めた多面的なアプローチにより、
予防していかなくてはなりません。
日常生活上で不安を感じたら、是非、ケアマネージャーさんや、近くの地域包括支援センターに相談してみてください。
もちろん、理学療法士や作業療法士にも声を掛けてみてください。
1人ではなく大勢で力を合わせて、転倒せずに元気に過ごしていけたらと思っています。
以上、大腿骨頸部骨折についてでした。
アクティブデイできじま/理学療法士 佐野直哉
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