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家庭の医学

もう一度波に乗りたい!

新潟リハビリテーション病院
[掲載日]2014.01.08
基本的に、スキーやスノーボードが(斜面上で)重力を推進力として楽しむスポーツだとすれば、
サーフィンは波の押す力を利用して行うものです。
楽しむためには、まずエネルギーの風上にあたる場所まで到達しなければなりません。
スキーやスノーボードでは、ゴンドラやリフトが高所まで連れて行ってくれます。
(なかには、歩いて上がって頑張る人もいると思いますが。)
サーフィンは、自分の力で沖へ出ます。この場合、板の上に腹ばいに乗って、クロールのように
交互に手で掻いて(パドルして)進みます。途中で波をかぶると岸へもどされてしまうので、
その時は両手でボードを掴んで体ごと波の下にもぐって回避します。
つまり、サーフィンの場合は、両腕が「移動する手段」になるわけです。

話は長くなりましたが、ここで片腕を無くした少女の話です。
ハワイに住んでいるベサニー・ハミルトンは、将来が嘱望されていた女性サーファーでしたが、
13歳のある時、海で波を待っている時にサメに左腕の肩から先の部分を食いちぎられてしまいました。
幸い、応急処置と2回の手術で命は取り留めましたが、片腕を失った後では、サーフィン復帰は絶望的と
思われていました。もちろん、彼女自身もしばらくは落ち込んで、何も手につかない状態が続きました。

しかし、驚くべきことにこの少女は、怪我をして一か月後に
片腕でパドルして沖へ出て、再び波に乗ることに挑戦しました。
もちろん片腕なので、最初はまっすぐには進めません。波にも思うように乗れません。
サーファーである両親や兄弟、友達をはじめ周囲の応援もありました。

でも何より、彼女の「サーフィンが大好き!もう一度波に乗りたい!」という
強い情熱が、多くの失敗を乗り越えさせました。
そしてついにテイクオフ(板の上に立って波に乗ること)できるようになります。

彼女はさらに大会に出場し、入賞もするようになります。彼女の挑戦はまだまだ続きます・・・

片腕を失うというアクシデントに出会っても笑顔を忘れず、好きなことに再挑戦していく姿は感動的です。
人間は、心の底から好きなものに対しては、何でもやれてしまう潜在力があるのかもしれません。

新潟リハビリテーション病院/リハビリテーション科医:小股 整
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