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健康コラム

家庭の医学

脳のために「運動」してますか?

新潟リハビリテーション病院
[掲載日]2013.12.04
皆さんもご存知のように、脳は他の臓器と同じく、年齢を重ねることで次第に衰えがやってきます。
一方で、脳には可塑性といって、もともと持っていた機能以外の機能を獲得する機能があると言われています。
その「脳」にアプローチする方法として、「運動」は誰にでも比較的取り組みやすく、かつ確実な効果を
期待できるものとして注目されてきています。

最近の報告では「身体活動を高く保つこと」が、加齢による脳の退行を抑制し、認知機能を維持するうえで
重要であることがわかってきました。
Ericksonらの研究によると、65歳の時点での1週間の歩数距離が多い高齢者ほど、9年後の調査で
前頭前野や海馬の体積が大きく保たれており、13年後に軽度認知症や認知症に移行するリスクが
低下していた、ということです。

また、Middletonらは、日常生活に根差した低強度の身体活動でも、認知機能を維持する効果があると
報告しています。これは、体力のない方や歩行が困難な方でも、ご本人の状況に見合った低強度の運動を
行うことで効果があるということです。

さらにKramerらは、運動習慣のない健常高齢者に有酸素運動として週3回のwalkingを6か月間行った結果、
心肺機能の向上とともに、認知課題の成績が向上すること、さらに前頭前野や側頭葉の体積が特異的に増加したことを報告しています。

このように運動を日常的に継続することが、脳にも良い影響を与えることがわかってきています。

しかし、このような「運動」の効果も、あまり無理して頑張りすぎては逆効果のようです。
特に高齢者では、強すぎる運動強度では、運動効果が認められないだけでなく、
ストレスホルモン分泌過剰により記憶を司る海馬に悪影響があるとも報告されています。

また、運動は「楽しく」行う、ということも大切です。
特に自分の好みの音楽を聴きながらの運動では、気分の快適に伴い、
左側の前頭前野背外側部という注意力・集中力に関係する脳の領域で脳活動が増加し、
課題の反応時間の短縮がみられるということです。

楽しみながら体を動かすことを定期的にできれば一番ですね。

新潟リハビリテーション病院/リハビリテーション科医:小股 整
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