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健康コラム

家庭の医学

慢性硬膜下血腫について

新潟リハビリテーション病院
[掲載日]2013.11.06
皆さんは、慢性硬膜下血腫という病気をご存知でしょうか。
これは、頭を打撲した後に、1~2か月ほどしてから徐々に発症してくるものです。
慢性硬膜下血腫は、頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と脳との隙間に、液状の血液がたまる病気で、
このたまった血液が脳を圧迫してくることで、さまざまな症状が出てきます。

一般的な症状としては、片方の手足が動かなくなる片麻痺や、頭痛などが多いのですが、慢性硬膜下血腫が
両側にあるときなどは、特徴的な症状がわかりにくいことも多いのです。

具体的な症状としては、少しずつ歩行状態が悪化してくる、言葉がうまく話せなくなる(失語症)、記憶力が低下する、
意欲が低下する、反応が乏しくなる、尿や便を漏らしてしまう、などがあります。

また、症状が出てくる前の数か月間に頭を打撲していない場合や、頭を打ったかどうか
わからない場合もあります。たとえば、泥酔していたとか、頭を打った後に脳しんとうを
おこし、健忘状態(ものごとを覚えられない状態)となっていた場合です。

このため、上記のような症状が、徐々に進行してみられるような場合、
まずこの病気をうたがうことも必要です。

高齢者では、認知症や脳梗塞として扱われている場合も少なくありません。
高齢化の中で、慢性硬膜下血腫の症例は、増加傾向にありますが、ほとんどの場合、
正しく診断がなされ、タイミングを逸することなく治療が行われれば完治する
予後のよい病気です。

もちろん、慢性硬膜下血腫と似ている症状を呈する病気との区別は簡単では
ありませんから、症状が軽いからといって様子をみたり、あきらめたりしないで、
早めに病院で検査を受けるようにしましょう。


新潟リハビリテーション病院/リハビリテーション科医:小股 整
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