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急性硬膜下血腫について
新潟リハビリテーション病院
[掲載日]2014.03.05
前回は、脳振盪(のうしんとう)とそれに引き続くセカンドインパクト症候群の話をさせていただきました。[掲載日]2014.03.05
今回は、急性硬膜下血腫についてご説明いたします。
以前お話しした「慢性」硬膜下血腫とは違い、外傷直後におきてくるものは「急性」硬膜下血腫と呼ばれます。
スポーツ外傷による死亡原因のナンバーワンです。
急性硬膜下血腫は、外傷の衝撃により頭蓋内で脳が加速度運動を生じ、脳の表面にある太い静脈が断裂するために
起きると考えられています。この衝撃は、頭部以外の顔面や下顎の外傷や、頭部をぶつけない転倒でもおき得ます。
ボクシングのパンチによるものや、スノーボードの逆エッジによる転倒の際が、これにあたります。
この出血は、頭蓋骨の内側に張り付いている硬膜と、脳の表面との間に拡がってゆきます。
出血した血液は、固まってゼリー状になるので、血腫(血液の塊)と呼ばれます。
この硬膜下に拡がった血腫が大きくなると、その下にある脳を圧迫し、頭痛、嘔吐、意識障害、運動麻痺などの
症状が出てきます。そのまま放置すると、脳ヘルニアといって生命の中枢である脳幹へも圧迫がおよび、
最終的には生命が絶たれてしまいます。救命には、全身麻酔での開頭術が必要になります。
また、血腫の直下の脳の損傷(脳挫傷)を伴っていることも多いため、けいれん、運動麻痺、記憶障害などの
後遺症が残る場合もあります。
私は、3年前に脳外科医であったころ、スノーボード中に転倒しこん睡状態となった
30代の患者さんの治療にあたったことがあります。
急性脳腫脹と急性硬膜下血腫が認められ、減圧手術で一命はとりとめたものの、
重症な後遺症が残りました。
患者さんはスノーボード初心者で、前日も滑って何回か転倒をしたようで、
当日の朝も頭痛を訴えていたそうです。この経過から、セカンドインパクト症候群による
症状悪化が推測されました。
現在は、脳振盪は決して軽く考えない、頭部への打撲を繰り返さない、時間を追って
経過をみていく、という考えが一般的になっています。
新潟リハビリテーション病院/リハビリテーション科医:小股 整
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