愛広会のデイ日和 HOME > 健康コラム > [家庭の医学] 新しいことを始めましょう

健康コラム

家庭の医学

新しいことを始めましょう

新潟リハビリテーション病院
[掲載日]2013.05.01
ようやく春らしい天気になり、体を動かすにも良い季節になってきました。
皆さんもご存知のように、健康づくりには適度な運動習慣が必要不可欠です。

肉体的にハードなトレーニングを積んだ宇宙飛行士が数週間後に地球に帰還したとき、
おおむね車椅子が必要になることはよく知られています。
無重力空間で筋肉をほとんど使わず、浮遊していれば「アッ」という間に
衰えてしまいます。体の機能を維持するためには、不断の運動継続が必要なのです。

では、脳の機能については、どうでしょうか。
最近の脳科学では、運動と脳機能の間には想像以上に密接な関係があることが
わかってきました。
これは体と同じく、脳も「使わなければ衰える、鍛えれば維持、向上する」というものです。

マグワイアという英国の認知神経学者が、構造的MRIという検査を使って、タクシー運転手16人の脳の構造を調べました。
ロンドン市内は2万4,000もの通りが縦横無尽に張り巡らされています。
これらの通りをすべて覚えるのには、毎日ハンドルを握っている運転手でも数年はかかるといわれています。
その研究の結果では、一般人と比べて、タクシー運転手では、記憶に関わる一部の脳の容積が大きいことがわかりました。
さらにベテランの運転手ほど、その部分の脳が発達していることがわかりました。

また、ドイツのハンブルグ大学の研究者らは、体を動かすことで、脳が大きくなることを示しました。
ジャグリングという西洋お手玉では、両手を使って3つのボールを交互に投げ続ける技があります。
20代の人がこの投げ技を1分間続けられるように、3か月練習したところ、この技能習得に関連する脳の容積が
大きくなったのです。さらに高齢者でも同じ実験を行ったところ、技能習得には時間を要するものの、脳には同様の変化が
確認されました。つまり、年齢には関係なく、新しいことを習得することにより、対応する脳の機能が向上し、さらに
脳の構造も変化する、ということです。

でもやはり何事も、楽しみながらできることが一番大事だと思います。
つらいこと、苦痛なことはなかなか長続きしません。皆さんも、この時期に何か楽しいことを始めてみてはいかがですか?

新潟リハビリテーション病院/リハビリテーション科医:小股 整
戻る
ページのトップへ