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健康コラム

家庭の医学

「イカと大根の煮物」からの考察

新潟リハビリテーション病院
[掲載日]2013.01.09
イカの眼球は、脊椎動物の眼球に非常に近い「いわゆるカメラ眼」である。
無脊椎動物であるにもかかわらず、人間並みの構造を持ち、水晶体を前後に動かす形でピンと調節が可能である。
さらに色の認識すらできる。
しかし、恐るべきことに「この視覚情報」を処理するべき脳があまりにも貧弱である。
人間の視覚の処理の中枢は複雑かつ巨大である。

イカの脳は本当に小さい。
実はイカには「いかにも」イカらしい視覚処理システムがある。
イカの視覚を処理する中枢は、脳より大きい視葉という部分である。
そして眼球から直接、情報が視葉に至り処理され
「例の俊敏な移動・獲物の捕獲・体表の色調の変化」をダイレクトに
おこなっている。要するに脳を介することなく情報処理されているのだ。


わたしの趣味は料理をすること。先日、イカを捌きながらついでに、解剖実習をしてしまった。
イカは、もしかしたら別の星から来た生物なのかと思わずにはいられない程に、人とかけ離れた構造を持っていた。

生命の不思議をかみ締めながら、「イカと大根の煮物」をかみ締める私であった。

新潟リハビリテーション病院/内科医:伊東浩志
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